ホンドタヌキの死亡は公表する価値のない情報なのか

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多摩動物公園のホンドタヌキ、チャチャ(メス)が死亡しました。が、その事実が明るみに出た経緯について、園側に非常に多くの問題があると考えたため、ブログ記事という形でまとめます。
多摩動物公園では1月にもシロ(オス)が死亡しています。こちらも公表に至るまでの経緯に問題があると考えているため、時系列に組み込みます。
※当ブログ管理者及び写真撮影者の「中村沙絵/Nakamura Sae/ナカムラサエ」は「ナカムラ」として統一。

また、当記事を編集したものを「意見書」として多摩動物公園に持参予定です。

時系列(2019年1月から8月まで)

  • 1月27日 タヌキのキーパーズトーク開催日。キーパーズトーク前から、シロが身動きしておらず、死亡が確認されたため来園者の前で回収される。
  • 2月8日 多摩動物公園公式アカウントが、twitter上にシロの死亡について、タヌキが集まって寒さをしのぐ様子を伝える内容と共に発信。
  • 8月12日 ナイトズー期間1度目の、タヌキのキーパーズトーク開催日。来園者Aが飼育員から、チャチャは熱中症によりバックヤードにいると説明を受ける。
  • 8月18日 チャチャ、死亡。
  • 8月26日 ナイトズー期間2度目の、タヌキのキーパーズトーク開催日。しかし、同日起きた職員死亡事故により、園は臨時休園となる。

以下、9月23日中の出来事

  • 13:00頃 ナカムラ、多摩動物公園に到着。慰霊碑前へ徒歩で向かう。
  • 13:30-14:00 慰霊祭。チャチャ及びシロの死亡についての発言なし。
  • 15:15頃 ナカムラ、多摩動物公園を退園。
  • 15:40過ぎ 来園者Aの個人アカウントが、twitter上でチャチャの死亡について発信。
  • 16:13-18頃 ナカムラ、多摩動物公園へ電話で事実確認及び意見申し立て。
  • 16:21 ナカムラ、自身の撮影用アカウントで、twitter上でチャチャの死亡が事実であること、公表できない事情もなかったことを発信。

問題点1.多摩動物公園の信頼と経営の問題に繋がる

時系列を見ていただきますとわかるように、「来園者が、動物園の公式の発信よりも、一来園者の非公式の発信を信じている」状況が生じているということです。それは果たして、健全な動物園運営に繋がるのでしょうか。
来園者Aはタヌキ好きとの交流も多く、普段もタヌキについての情報をツイートしていたため、信頼されるに値する土壌がありました。しかし、動物園ファン全てが善意で動いているわけでもなく、中には故意ではなくとも誤情報を流してしまうというケースもあるでしょう。そのようなアカウントが、園の信用であったり、来園者の安全に関わるような誤情報を流し、来園者がその情報に従ってしまう。そのような状況があるのは、動物園にとって、経営上や安全上の問題があると考えます。
また、信頼と経営という面においては、サポーターとしてタヌキに資金援助をしている個人に対する裏切りではないでしょうか。
多摩動物公園でホンドタヌキをサポート動物として指定しているサポーターは、2019年8月時点で5名います(ナカムラも、氏名非公表にしていますが、タヌキをサポートしています)
参考:「多摩動物公園公式サイト」内「動物園サポーター登録者リスト

タヌキにいくら資金が寄せられているかは不明ですが、個人サポーターは大人の場合、1口1万円での登録です。もちろん、複数口登録しているサポーターもいるでしょう。この金額を「なんとなくタヌキに」と深く考えずに支払っているようなサポーターは、そうそういないように感じます。
なぜ、資金援助をしているサポーターがいるような動物の死亡について、動物園が公表しないのでしょうか。せめて、サポーターに対しては、動物園側が第一報を伝えるべきではないのでしょうか。それが、サポーターに対する誠意ではないのでしょうか。
しかも今回、チャチャが死亡してから1か月以上経ってから発覚しており、その間、一部の来園者は該当個体の病状を心配していたのです。散々心配させておいて、実は1か月以上前に死んでいるなんて。
動物園への不信感があれば、「本当にサポート動物に資金を使っているのか」という疑惑を持つサポーターも出てくるでしょうし、中には「別の動物園を援助する」と離れていくサポーターも出てくるでしょう。
つまり、経営という面においても、まとまった資金を援助するサポーターを失いかねないこの状況は問題と捉えるべきです。

問題点2.動物及び動物好きの「搾取」

多摩動物公園では、2017年から2018年にかけて「タヌキ展」を開催していました。
12/7-3/13 干支の企画展「企画展タヌキ 新年特別編──タヌキの真実が明らかに」開催中!
「多摩動物公園公式サイト」内「ニュース」より

この企画展はtwitter上で話題となり、2019年9月24日現在もgoogle等の検索サイトで当時のネットニュース記事がヒットします。
この企画が呼び水となって多摩動物公園に足を運んだり、その後、年間パスポートを買うに至ったりした人も、いなかったとは言いきれません。
また、前述したサポーター制度でタヌキに資金援助をしているサポーターがおり、タヌキに使う資金がそこで多少なりとも外部から確保されています。
「恩を仇で返す」という言葉があります。感情論になってしまいますが、タヌキを利用することによって来園者や資金を確保しておきながら、その死亡については公表しないというのは、タヌキにとっても、またタヌキを好きな来園者にとっても、「恩を仇で返された」「利用された」状況ではないでしょうか。そしてこれは、タヌキだけに留まらず、日頃目立たない場所で飼育されている種や個体においても起き得る構造です。
また、動物園は動物愛護論者から、常々「動物園は動物を搾取する施設」として批判を浴びています。噛み砕きますが「動物園は、動物を人間のために都合よく利用している」という主張です。企画展の主役に持ち上げながらも、死亡すればその報告はしない。利用するだけ利用し、死んだらもういらない。もし、多摩動物公園側にそのような意識があるとしたら、それは動物愛護論者の言う「搾取」でしょう。「搾取」でないのであれば、死んだ後の報告まで丁寧にしていこうという意識であってほしいところです。

問題点3.動物園の役割を揺るがしている

多摩動物公園が加盟している「日本動物園水族館協会」によると、動物園には(機能しているかどうかはここでは置いておきますが)4つの役割があります。

  • 種の保存
  • 教育・環境教育
  • 調査・研究
  • レクリエーション

参考:「日本動物園水族館協会(JAZA)」内「JAZAについて」内「4つの役割」

今回の死亡報告で問題となるのは、「教育・環境教育」の面です。
飼育動物の死を知らせないことは、「教育」上不適当ではないでしょうか。いきものはいずれ死ぬのです。死亡の報告は、動物の命について考えるきっかけとなり、それは人々に対しての動物や命についての教育に他ならないでしょう。
また、 死亡報告の貼り紙やツイートの中には、死亡原因、個体の飼育年数、生まれた場所、飼育員からのコメント、来園者との関わりなど、報告に留まらない、様々な情報が含まれているケースが見受けられます。来園者にとって、動物がどのような理由で死亡するのか、動物がどの程度の年数生きるのか、日本や日本国外の動物園と繋がりがあること、飼育員や来園者にとって愛情を注ぐ存在であったことなど、来園者にとっての動物についての知識にも変わります。そこには教育という側面がないでしょうか。
死亡報告を適切に公表せず、来園者から教育のきっかけを奪うことは、動物園が自ら掲げる「教育・環境教育」という役割を揺るがしていませんか。

多摩動物公園に求めること

多摩動物公園の飼育動物全てに対して、死亡時に必ず報告するように求めることは、むちゃくちゃな要求です。そんな要求が通れば、飼育員は毎日ハキリアリを数え、逐一報告しなくてはならなくなります。多摩動物公園が少数の職員で運営されていることを承知の上で、ナカムラは以下4点を求めます。

  • 資金援助をするサポーターがついている動物については、なるべく死亡報告を公表してほしい。「昆虫園」「ホタル」など確認や報告が難しいもの、また事情により公表が難しい個体もあるだろうため、「なるべく」で構わない。
  • twitterや公式サイトでは災害やイベントの告知など優先するべき情報も多く、掲載が困難なことは承知である。せめて展示場の近くに貼り紙などで報告してほしい。
  • 展示場の近くでの貼り紙も難しいなら、ウォッチングセンター内など、園内のどこかで、死亡個体についての報告をまとめて掲示するようにしてほしい。
  • 報告を出す/出さない基準を設けているなら、それを公式サイトなどで公表してほしい。

最後になりますが、23日という忙しい祝日に電話対応をしてくださった職員の方が、嘘偽りなく回答をしてくださったこと、また事実確認の後のナカムラの拙い意見を聞いてくださったことに、感謝いたします。

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